プロスケーターの安藤美姫(37歳)が、1月6日に放送されたニュース番組「ABEMA Prime」(ABEMA)に出演。“報道に疑問を抱いた出来事”について語った。
番組はこの日、事件や事故、災害における犠牲者の人となりが“美談”として伝えられることに違和感を抱く遺族と、メディアの報じ方について考えていくことに。
番組で取り上げたのは、2012年に大阪で起きた水難事故のケース。川で溺れていた3人の中学生を、通りがかりの男性が発見、救助しようと川に飛び込んだが、中学生のうち2人は助かったものの、中学生1人と助けに川に入った男性の2人が死亡した。
この事故は各メディアで扱われたが、再発防止策や救助のあり方などの報道は少なく、多くは「責任感の強い人」「勇敢」などと、救助するために命を失った男性の行動を讃えるニュースとして取り上げられた。
番組では亡くなった男性の妻を取材。「再発防止に報道をつなげて欲しかったが、人となりばかりがフューチャーされ、夫の死は美談として消費されたと感じた」と当時を振り返る。
番組MCを務めるプロスケーターの安藤美姫は「起きたことの事実を伝え、2度と同じことが起こらないように伝える報道だけでいいと思う」とコメント。
また、安藤は報道に対して疑問を抱いた出来事を振り返り、「私は小学生の頃に父を事故で亡くしているが、18歳で五輪に出場することが決まると、『お父様が亡くなられていると聞きました。お父様のために滑られるんですよね?』『どういう気持ちを捧げますか?』と記者会見で質問を受けた。父のことは五輪の舞台とは無関係なのに、このことをどういうストーリーにしたいの? と心に引っかかった。そして、父のためにスケートをやっていたわけではないので、『事故を蒸し返された』と感じた」と打ち明けた。
その上で「遺族の気持ちを考えると、人の死を美談にして欲しくないと思う」と語った。